作業道の管理は施工のときから始まっている!〜作業道管理編〜
森林・林業知識

作業道の管理は施工のときから始まっている!〜作業道管理編〜

林業で作設される作業道は、繰り返し使っていくものです。

しかし、雨水による侵食や災害などによって作業道は痛む可能性があります。

そのため、作業道を繰り返し使用するには、適切な管理が必要です。

そこで本記事では、作業道管理の概要と、作業道管理を種類別に紹介します。

作業道の管理に興味がある方はぜひ参考にしてください。

作業道の管理について

作業道の路網計画や施工については以下の記事をご確認ください。

(作業道施工の記事が公開次第導入)

全く管理されていない作業道を再び使用するためには、破損箇所を補修するなどの多大なコストがかかります。

破損状況によっては、違う路線を作り直すことになる可能性もあります。

間伐によって収入を得る段階から、何度も使われるのが作業道です。

作業道をしっかりと管理できれば、コストを抑え最終的な利益を増やすことにもつながります。

収益性は再造林を行うかどうかにも関わってくるため、林業を維持していくためにも、作業道の管理は欠かせないものです。

作業道管理の種類

作業道の管理にはいくつか種類があり、以下のようなものが挙げられます。

  • 作業道の施工中に行う管理
  • 使用後の管理
  • 維持管理
  • 設置物の管理
  • 急勾配箇所の管理

作業道の施工中に行う管理から維持管理までは一般的な管理で、設置物や急勾配箇所の管理はその他の管理に該当します。

ここからは、それぞれの管理方法について紹介していきます。

作業道の施工中に行う管理

管理というと作業後にするものとイメージしがちですが、作業道の管理は施工中から行われます。

例えば、盛土(もりど)や切土(きりど)には、保つべき勾配があります。

林野庁の「令和4年度版森林作業道作設指針の解説」によると、切土は6分(約60度)、盛土は1割(45度)の勾配が作設の際の基準です。

※山を削ることを切土、土を盛ることを盛土という

適正な勾配の管理は作業道の作設中から行わないと、勾配がきつすぎて崩れる可能性がありますし、緩すぎると雨水による侵食が心配されます。

施工中にも管理を行い勾配を調整することで、壊れにくい作業道の作設が可能です。

参照:林野庁「令和4年度版森林作業道作設指針の解説

使用後の管理

使用後の作業道は、「引き続き使われる路線」と「次回の施業まで使われない路線」があります。

引き続き使われる路線に関しては、走行できないと作業道としての意味がないため、走行性の確保が必要です。

一方で、次の利用まである程度時間が置かれるであろう作業道に関しては、走行できるかどうかは重要ではなく、路体が大きく壊れないことが大切です。

そのため、横断排水を短距離間で設置して排水処理を行ったり、轍(わだち)を均して水が走ることを防いだりするといった措置がとられます。

使用しない作業道は、車両の進入を防ぐことで路線内に轍を作らずに済むため、路体が維持されやすくなります。

作業道の入口に表土を敷き均すことで、草木を茂らせ作業道への進入を自然と防ぐことも可能です。

出典:林野庁「令和4年度版森林作業道作設指針の解説

維持管理

維持管理には以下のようなものがあります。

  • 排水処理と定期巡視
  • 管理主体の明示
  • 作業道台帳の作成

維持管理は基本的には使用後の管理と同様、排水処理をメインに考えます。

可能であれば定期的に作業道内を巡視し、崩壊などの予兆を発見できるのが望ましいでしょう。

作業道作設直後には見られなかった問題が出てくる可能性もあるため、巡視によって早期に異変を発見できれば、軽度の対応で済む場合もあります。

管理主体がどこであるのかを明示することも維持管理の1つです。

作業道の入口に看板などを掲げることで、災害時の作業道の崩壊などを通行人が連絡してくれることも考えられ、早期の対応が期待できます。

また、路線図や延長、施工業者などを記した台帳の作成も維持管理に必要なものです。

各路線に関する情報がまとめられていれば、災害時などの対応を速やかに行えるでしょう。

設置物の管理

設置物にも管理が必要です。作業道の設置物には以下のようなものがあります。

  • 丸太で盛土部分を補強した「丸太組工」
  • 排水のための「ヒューム管」や「排水パイプ」
出典:林野庁「令和4年度版森林作業道作設指針の解説

これらには適正な設置基準があり、守って据え付けられたかどうか管理する必要があります。

もし設置の基準が守られていないと、うまく水を処理できなかったり、丸太組そのものが崩壊してしまったりするでしょう。

丸太を利用した設置物では、腐朽による強度の低下も考えられます。

設置物が自然のものである場合は、その状況をよく確認する必要があります。

出典:林野庁「令和4年度版森林作業道作設指針の解説

また、構造物には該当しませんが、ヘアピンカーブやすれ違うための待避所なども広い意味では設置物です。

しっかりと曲がりきれる角度で設置されたヘアピンカーブであるか、すれ違うだけの幅員が確保されているかなどは、構造物と同様に管理すべきです。

丸太組工などの設置物の詳細に関しては、林野庁の「令和4年度版森林作業道作設指針の解説」を参考にしてください。

急勾配箇所の管理

作業道の設計上、急勾配となる箇所が発生する場合があります。

急勾配箇所は単に危険なだけでなく、路面を走る水の流れが早くなり、作業道が侵食されやすい側面をもっています。

そのため、他の路線箇所とは異なり、比較的短い間隔で横断排水を設置する必要があります。

横断排水の他にも、間伐などの作業完了後には、枝条で路面を覆うといった処理の検討も必要です。

枝条で路面を覆うことで、流水による路面侵食を防いだり、雨水から路面を守ったりする効果が期待できます。

状況によっては枝条によって土砂がたまってしまい、排水不良を起こす場合も考えられるため、路面を枝条で覆う際には周りの状況をよく確認する必要があります。

まとめ

林業で使われる作業道は、繰り返しの使用が想定されています。

そのため、作設のコストを可能な限り抑えつつも、適切に管理する必要があります。

適切に管理された作業道であれば、仮に路体が崩壊する事態となっても、迅速に対応できるでしょう。

作業道の管理は作設のときから始まっているため、繰り返し使える作業道を目指して管理を行っていきます。

この記事が、作業道管理の参考になれば幸いです。

参考資料

林野庁.令和4年度版森林作業道作設指針の解説https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sagyoudo/attach/pdf/itakukouhyou-5.pdf(2024年4月17日取得)