LiDARとは?仕組みや利用例を丁寧に解説
リモートセンシング

LiDARとは?仕組みや利用例を丁寧に解説

自動車の試運転技術やドローンによる3D測量などで注目を集めている「LiDAR(ライダー)」。

今回はLiDARの仕組みや利用例、具体的な商品について丁寧に解説します。

LiDARとは

LiDARとは、Light Detection and Ranging(光の検出と測距)の略称で、レーザー光を利用して対象物を測量するリモートセンシング技術です。

また、LiDARの技術を使って測定する機器のこともLiDARと呼ぶことがあります。

レーダーが電波を使って測定するのに対し、LiDARは波長の短いレーザー光を利用しているため、高精度の3次元情報を取得できることが特長です。

リモートセンシングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

LiDARの仕組み

LiDAR計測は、レーザーより照射した光(赤外線など)が対象物に当たり、反射光を光センサーで受信するまでの時間から距離を算出します。

この際、レーザー光を断続的に繰り返す「パルス発光」をしています。

1秒間に数万~数百万回の光を発射することで大量の位置情報を取得し、高精度の3次元データ(3次元点群)を取得できます。

パルス発光を利用する計測方法をTOF(Time of Flight)方式と言います。その他、発信するレーザー光の周波数を変化させながら測定するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式もあります。

LiDARと似ているリモートセンシング技術に「ミリ波レーダー」があります。

ミリ波レーダーとは30~300GHzの高い周波帯の電波を発射して計測する技術です。

LiDARはミリ波レーダーよりもさらに高い周波帯(波長が短い)レーザー光を利用しているため、より高精度な計測が可能です。

波長が短いとはい言っても近赤外線の範囲になるため、危険を及ぼすようなものではありません。

LiDARの利用例

LiDARは主に以下のような目的で利用されます。

  • 車の自動運転
  • 測量
  • 森林管理
  • 自動走行型ロボット
  • iPhoneのLiDARスキャン

一つずつ解説します。

車の自動運転

自動ブレーキやレーンキープ機能などの先進運転支援システム(ADAS)には、ミリ波レーダーとカメラを利用した技術が利用されています。

しかしミリ波レーダーとカメラだけでは暗所・夜間での検知が不十分であったり、距離は測定できても対象物の形状までは捉えられないという課題があります。

「目を離して運転できる」レベルの自動運転には、LiDARの活用が必要です。

LiDARを使うことで他の車や歩行者、障害物などとの関係を3次元で捉えることができ、さらに暗所・夜間でも関係なく利用できます。

LiDARが搭載されている車は、トヨタの「レクサスLS」やホンダの「LEGEND」などがあります。

測量

様々な場面における測量でLiDAR技術が活用されています。

LiDARには様々なプラットフォーム(基盤)があり、それによって測量の用途も異なります。

※プラットフォームについては後述します。

一番手軽なもので言うとスマートフォンに搭載されたLiDAR機能を利用した測量アプリです。

単純にLiDARを巻き尺がわりに使うものから、外付けのGNSSレシーバーなどを利用し、国土交通省の基準に準拠するレベルの高精度な3次元測量も可能です。

森林管理における作業道測量・周囲測量や、建築における出来高管理などに利用されています。

また地上型LiDARやレーザードローンによる測量は、地図の作成、地形の把握などに活用されています。

森林管理

LiDARは森林管理にも活用されています。

前述した作業道測量・周囲測量はもちろんのこと、森林資源量の把握や境界確認にもLiDARが役立ちます。

地上型LiDARは局所的で高精度な計測を得意としているので、樹木1本1本の情報を取得して資源量を把握したり、詳細な地形データをもとに施業計画や境界確認に役立てることも可能です。

LiDARを搭載したレーザードローンはオルソ画像と併用し、ゾーニングや防災などより広域な森林管理に利用されます。

自動走行型ロボット

ファミリーレストランで見かけるようになった配膳ロボットにも、LiDAR技術が使われているものがあります。

すかいらーくグループが導入しているネコ型の配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」や、アイリスオーヤマが開発する「Servi」にはLiDARが搭載されており、人・歩行者を上手に避けながら移動できるのが特長です。

配膳ロボットの他にも、倉庫や工場で活躍しているLiDAR搭載ロボットもいます。

iPhoneのLiDARスキャン

iPhone/iPad proにはLiDARスキャナが搭載されています。

※搭載されている機種一覧はこちらをご確認ください。

iPhoneのLiDARスキャナは暗い場所でもきれいに撮影する「ナイトモード」に活用されているほか、アプリを使って様々なものの計測ができます。

前述した測量アプリの他、日常的な場面でも物の大きさや身長を測ったり、3Dデータの作成も可能です。

LiDARの選び方

LiDAR機器には様々な種類が存在します。

LiDARを選ぶポイント5つを紹介します。

プラットフォーム

搭載するプラットフォームによって、LiDARの役割は大きく異なります。

リモートセンシングに利用するプラットフォームは上の図の通りですが、中でもLiDARを搭載するのは地上LiDAR(ハンディタイプ・三脚など)、車載LiDAR、ドローン、スマートフォンなどです。

以下のように、目的に合わせてプラットフォームを選択しましょう。

  • 趣味で3Dデータを取得したい、狭い範囲での測量に利用したい→スマートフォン(iPhone)
  • 詳細な樹幹データや地形データ、色付き点群など高精度な情報を取得したい→地上LiDAR
  • 広域の植生データ・地形データを取得したい→レーザードローン
  • 道路周辺の地物や街路樹などを計測したい→車載LiDAR

この他、航空レーザーもありますが非常に高額であり操縦者も必要とするので、専門の会社に測量を依頼してデータを購入する方法が一般的です。

測定距離

LiDARはレーダーの強度により測定距離(検出距離)が異なります。

iPhoneのLiDARスキャナは最大5mまでの測定となります。

地上型LiDARやドローンに搭載されているLiDARだと数10mから、長距離のものだと数100m~1kmの測定ができます。

測定距離が長いほど短時間で計測できますので、ha単位での計測を行いたい場合は数100m以上計測できるLiDARを選びましょう。

LiDARが検出できる距離は、対象物の反射率によって異なります。「白は太陽の光を跳ね返すから熱がこもりにくく、黒は吸収するから熱くなりやすい」と聞いたことがあると思いますが、白色の物体の反射率90%ほど、黒色は反射率10%ほどになります。反射率が高いものほど検知できる距離が長くなります。一般的には反射率90%の場合の測定距離が示されます。暗所での利用を想定している場合は、反射率が低い時の測定距離も確認しましょう。

測定範囲

LiDARの測定範囲(走査角度)は水平方向の範囲と垂直方向の範囲に分かれます。

FOV(Field of View)、つまり視野と表記されることもあります。

「FOV 70.0°(H) × 77.2°(V)」と書かれていたら、水平方向70.0°、垂直方向77.2°の範囲を測定できるという意味です。

範囲が広いに越したことはないですが、移動するタイプのLiDARなら角度を変えて計測することで範囲をカバーできますし、ロボットや車に取り付ける場合は複数台設置してカバーすることもできます。

スキャンスピード

LiDARのスキャンスピードは、1秒間に何個の点を測定したかで表します。

この値が大きいほど高精度な測定が可能です。

解析ソフトの性能

LiDARで計測した3次元点群を活用するには、点群解析ソフトを使う必要があります。

様々な点群解析ソフトがありますが、LiDARとセットで提要されているサービスは連携がスムーズにできるのでおススメです。

インフラ・構造物の点検に強いソフト、森林計測に特化したソフト、GISとの連携ができるソフトなど様々な特徴があるので、目的に沿った解析ソフトが付属しているLiDARを選びましょう。

森林計測に最適なLiDAR、LA03

マプリィの開発するLA03は、森林計測に特化した地上型LiDARです。

mapryLA03紹介動画

付属の解析ソフトでは以下のような処理が行えます。

  • 点群データの読み込み
  • DTM(数値地形モデル)の抽出
  • 等高線の作成
  • 傾斜分布図、傾斜量図の作成
  • 立木の検出(樹高や直径の計測)

取得したデータは、主伐・間伐・山林購入の際の資源量の確認やカーボンクレジットの調査など幅広い場面でご利用いただけます。

また、高性能ながら非常にリーズナブルなことが特長です。

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まとめ

LiDARについてまとめます。

  • LiDARとはレーザー光を利用して対象物を測量するリモートセンシング技術
  • レーダーと比べて高精度の3次元情報を取得できるのが特長
  • LiDARは自動運転や測量、森林管理、ロボットなどに活用されている
  • LiDARには様々な種類があり、目的に沿ったプラットフォームや解析ソフトを選ぶことが重要

マプリィでは森林計測LiDAR LA03の他、色付き点群が取得可能な長距離LiDAR LA01やレーザードローンM1を販売しています。

興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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参考資料

国立研究開発法人産業技術総合研究所.産総研マガジン.「LiDARとは?」.2022年9月28日.https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20220928.html(2024年7月19日取得)

ROHM.「LiDARとは?」.https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/laser-diodes/ld_what10(2024年7月19日取得)

株式会社キーエンス.クルマづくりコラム.「自動運転実現で注目を集めるLiDARのしくみと種類」.https://www.keyence.co.jp/ss/general/automotive-manufacturing/010/(2024年7月19日取得)

ウシオ電機株式会社.「電磁波と光」.https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/material/attached_material_01.html(2024年7月19日取得)

アイリスオーヤマ株式会社.「配膳・運搬ロボット Servi アイリスエディション」.https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/servi/(2024年7月19日取得)

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