【作業者と樹木を守る】つる切りとは?目的や作業時の注意点を紹介
森林・林業知識

【作業者と樹木を守る】つる切りとは?目的や作業時の注意点を紹介

林業において造林作業の一環である「つる切り」は、作業者と樹木を守るために行われます。

本記事では、つる切り作業の特徴や方法、作業時の注意点について解説します。

どのようなつるがあるのかタイプ別に分けて紹介もしているため、つる切り作業について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

つる切りとは?

つるにまかれた針葉樹

つる切りは林業における造林作業の1つで、育成する樹木の回りに発生する「つる類」を切ることを指します。

ここでは、つる切り作業の特徴を紹介していきます。

「つる絡み」によるかかり木の発生を予防する

つる切りを行い林内からつる類がなくなると、保育間伐時につるが絡まなくなり、かかり木の発生を防げます。

かかり木は林業の中でも非常に危険とされている状況のことで、伐倒した木が別の木に寄りかかった状態を指します。

つる類を残したまま20〜30年程度立つと、つるは大きく成長し隣の木にまで絡まるようになります。

2本以上の樹木につる類が絡みついた状態では、伐倒しても簡単には倒れずにかかり木状態となってしまいます。

のちの作業の安全を確保するうえで、つる切りは非常に大切な役割を担っています。

植栽木の材質低下を防ぐ

つる類が樹木に絡みつくと、樹木はつるを巻き込むように成長します。

つる類を巻き込んで成長した「いびつな丸太」の用途は、基本的にチップ材です。

チップ材は製材工場用の丸太よりも販売単価が安いため、つるに絡まれた丸太は材質が低下したといえます。

しかし、つる切りの作業によって早めにつる類を取り除くことで、数十年後の伐採時に販売単価が下がることを防げます。

つる切り作業は夏頃が適している

つる切りの作業は夏頃が適しています。

なぜなら、つるの成長に多くの養分を使っていて再生能力が落ちているため、一度切られると復活しにくくなるからです。

下刈りは夏に行う作業です。

つる切りの作業適期と重なっていて、通常下刈り時にはつる切りも同時に行われます。

つるを分類!3つのタイプ

つる類は樹木への取り付き方で次の3つのタイプに分けられます。

  • 巻き付くタイプ
  • 張り付くタイプ
  • ヒゲで絡むタイプ

それぞれのタイプについて、どのような特徴があるか紹介していきます。

巻き付くタイプ

林業において一番取り除くべきつる類が樹木に巻き付くタイプです。

代表的なものには葛(クズ)や藤(フジ)があります。

くるくると樹木の回りを巻くように成長していくのが特徴です。

巻き付かれた初期のうちは樹木に大きな影響はありません。

しかし、次第に樹木がつるを取り込むように大きくなるため、合体したような状態となり、材質の低下を招きます。

巻き付くためには、ある程度樹木が小さくなければいけません。

下刈りや除伐を行う1〜20年程度まで、つる類の発生具合を見てつる切りを続けます。

ある程度樹木が成長すると巻き付けなくなるため、初期対応が必要なつる類です。

張り付くタイプ

樹木に張り付いて生息範囲を広げるタイプもあります。

山林ではツタウルシなどがよく見られます。

大きく成長してしまうと造材時に邪魔となるケースがあるため、林内で見つけたら極力除去するように心がけたいものです。

ツタウルシを取り除く場合は、皮膚がかぶれるときもあるため注意が必要です。手袋などの保護具を忘れずに着用して取り除きましょう。

ヒゲで絡むタイプ

巻きヒゲで絡むタイプは、きゅうりなどを連想していただければわかりやすいかもしれません。

山林では、山葡萄(ヤマブドウ)などが代表的です。

ヒゲで絡むタイプのつる類は、もともと絡んでいる樹木から隣の樹木へ乗り移るときがあります。

正確な伐倒を妨げ、安全に作業できなくなるため、取り除く必要があります。

つる切りの作業方法

つる切りの基本的な作業方法は、つる類を刃物で根本から切ることです。

下刈りや除伐といった成長させたい樹木の回りを刈払う作業のときに、つる切りも同時に行うケースが見られます。

コスト面を考えると、一本一本の樹木を見て回るのは多大なコストがかかります。

そのため、別作業と同時に作業するのが合理的です。

もし、刈払い後につる類を見つけた場合は、鉈(なた)などを用いて、切り落としておきます。

つる切り作業の注意点

つる切りを行う際の注意点は、育てようとしている樹木に誤って傷をつけないことです。

つる類は樹木に巻き付いたり張り付いたりしているため、どうしても除去する際に刃物と樹木が接触する可能性があります。

傷をつけると、折れてしまったり材質を低下させてしまったりと、良いことはありません。

とくに刈払い機で作業する場合は注意が必要で、回転する刃に少し触れるだけで樹木は大きなダメージを受けてしまいます。

つる切りに使う道具

つる切りに使う道具は主に鉈や鋸(のこぎり)といった手工具を用います。

下刈りや除伐の作業時に同時に行う場合は、刈払い機が使われます。

刃物は日頃から手入れを欠かさないことが大切です。

どの道具もよく切れるように研いでおかないと、作業時に余計な力をかけることとなり、手元を狂わす原因となります。

まとめ

つる切りは、後々の作業者の安全を守ることに繋がる大切な作業です。

つる類に絡まれた木を伐倒するのは危険なため、植え付け直後から見張っておく必要があります。

木材の材質維持のためにもつる切りは重要で、とくに巻き付くタイプのつる類は材質を大きく低下させるため、早めの除去を心がけましょう。

収穫期を迎えたときの収益を確保するためにも、つる切りは大きな役割を果たします。

丁寧につる類を除去し、つる巻かれのないきれいな山林を目指していきましょう。

この記事がつる切りを知るための参考になれば幸いです。

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