山の手入れは植付けから始まり、下刈りや間伐といった作業など多岐にわたります。
これらの作業は必要な手続きを経て申請することで、森林整備事業として認められ補助金が交付されます。
本記事では森林整備事業の概要や、補助金申請の流れを紹介します。
リモートセンシングを利用した補助金申請についても取り上げていますので、補助金申請に興味がある方はぜひ、参考にしてください。
目次
森林整備事業とは?
林業業界における森林整備事業といえば、国が実施している補助金制度を指します。
ここでは、森林整備事業について詳しく解説します。
森林を整備すると補助金が交付される
あらかじめ決められた規定に沿って行う森林整備に対して、補助金が交付されるのが森林整備事業です。
一般的に持ち山を自ら整備する人は少なく、林業会社や森林組合に施業を依頼することになるため、一定の費用がかかります。
とはいえ、木材価格が低迷している昨今では、お金を払ってまで山を育てようと思っている森林所有者は少ないです。
しかし、森林整備が進まないと山は荒れてしまい、土砂災害などのリスクが高まってしまいます。
このような背景から、適切な森林整備に対しては、国などから補助金が交付される流れになっています。
森林整備のメニューは豊富にある
補助金が交付される森林整備のメニューには、以下のようなものがあります。
- 植付け
- 下刈り
- 除伐
- 保育間伐・間伐
- 更新伐
- 鳥獣被害対策、荒廃竹林整備など
- 路網整備
それぞれのメニューに対して作業のルールが定められており、規定の範囲内での実施が求められます。
申請は事業体と個人どちらでもできる
補助金の申請は個人でもできますし、森林組合などの団体に申請を委託することも可能です。
しかし、補助金の申請は簡単ではありません。
一定の知識があり申請の流れを熟知した者でなければ、補助金の申請は林業会社や森林組合に委託したほうが無難です。
森林整備事業補助金申請の流れ
森林整備事業の補助金申請の流れは、次の通りです。
- 森林経営計画を作成する
- 森林整備を行い完成させる
- 管理資料を取りまとめる
- 補助金を申請する
ここでは、申請の流れについて順を追って解説します。
1.森林経営計画を作成する
森林経営計画は、補助金申請に必要な森林施業の内容を取りまとめた計画です。
認定は主に市町村や県などが行っています。
森林施業の計画を所有森林が存在する地区、もしくは人ごとに一体的にまとめることで、計画に基づいた効率的な施業を目的としています。
個人でも作成は可能ですが、作成には森林の情報が集積されている「森林簿データ」に対する知識が必要です。
林業会社や森林組合に委託して作成してもらうこともできます。
2.森林整備を行い完成させる
森林経営計画が認定された後は、計画に沿って施業を行います。
作業が完了したうえでの補助金申請となります。
作業全般の写真が必要なため、作業前や作業中の写真も忘れずに撮影しておきましょう。
3.管理資料を取りまとめる
管理資料には様々な資料がありますが、必要書類は5年間の保存が義務付けられています。
そのため、安易に処分しないよう、注意が必要です。
また、各資料ごとの整合性がないと、のちに補助金を申請する際の書類としては認められません。
補助金の申請前には十分なチェックを行いましょう。
4.補助金を申請する
管理資料が全て整った時点で、各都道府県にある森林整備事業を担当している部署に補助金の申請を行います。
申請が通った場合、次にやることは現場の完成検査です。
森林整備事業にはメニューごとに様々な決まり事が決められていて、例えば、以下のようなものがあります。
- 植栽本数:面積あたりの植栽本数はいくらか
- 間伐率:何%程度の木を切るか
- 作業道の幅員:道路の幅をいくらにするか
完成検査では、申請された条件と現場が適合しているかが見られます。
完成検査後は、管理資料の検査です。
2つの検査に合格後、補助金の交付決定通知が発行され、のちに補助金が交付されます。
リモートセンシング・GISを使った資料で申請
リモートセンシングとは、離れた位置から対象物に触らずに物体の性質や形状を観測する技術を指します。
森林分野では、ドローンを用いた施業地の撮影・計測やGNSS測量などで活用されています。
これらの情報をGISなどと組み合わせることで、補助金の申請資料に替えられます。
例えば、弊社マプリィが提供するWebGIS「mapryGIS」であれば、スマホアプリ「mapry林業」で測量してきた計測データをアップロードすることで、測量野帳が出力可能です。
出力した野帳はそのまま森林整備事業の補助金申請の資料として使えるため、非常に効率よく申請を進めることができるでしょう。
詳しくは弊社ホームページ「mapryGIS」をご参考ください。
一方のドローンなどによる空中からの現地の計測では、シェープファイルなどのGISデータを提出することで、位置図や施業図の提出を省略できます。
山の中の測量は非常に手間のかかる作業です。ドローンなどで測量でき、申請書類の作成が省略可能なのは大変魅力的ですね。
まとめ
山林には公益的側面と私的財産的な側面の2面性があります。
育林には手間と費用がかかりますが、山を放置すると公益的機能がうまく発揮できません。
そのため、森林整備事業の補助金を活用し、山の手入れを行っていくこととなります。
申請には様々な手続きが必要であり、資料作成には一定の知識が求められるため、知識を有した会社や森林組合などに依頼することとなるのが一般的です。
近年では、リモートセンシングの技術が発達し、現地の測量なども省力化傾向にあります。
もし導入できるのであれば、スムーズな補助金申請が可能となり、森林整備をさらに推し進めることが可能となるでしょう。
今回の記事が、森林整備事業補助金を理解するために役立ててもらえれば幸いです。
参考資料
林野庁「森林整備事業」.https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/index.html.(2024年9月9日取得)
林野庁「森林整備事業の申請・検査について(ドローン等の活用)」.https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/sinsei_kensa.html.(2024年9月9日取得)