MMS(モービルマッピングシステム)とは?概要から活用法まで解説
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MMS(モービルマッピングシステム)とは?概要から活用法まで解説

このメディアを見ている方には、Googleなどの地図提供会社がカメラやセンサーを多数取り付けた車両を全国各地に走らせ、3Dマップを作っているという話を聞いたことがあるかもしれません。

そんな専用機器を取り付けた車両を走らせて道路などの地上の状況を分析する計測方法がMMS(モービルマッピングシステム)です。

人工衛星や航空機など従来の方法だけではわからない地上の詳しい状況を把握するシステムとして注目されており、近年では自動運転などでも注目されるようになりました。

そんなMMSについて、簡単に解説します!

MMSとは何か?:車両で走りながら計測を行うシステム

MMSとは、正式にはモービルマッピングシステム(Mobile Mapping System)といい、実際の道路を専用機器を取り付けた車両で走りながら計測を行うシステムです。

使われる機器としては以下のようなものが挙げられます。

  • 3Dレーザースキャナー(LiDAR)
  • GNSSアンテナ
  • IMU(慣性計測装置)
  • オドメーター(走行距離計)
  • カメラ
高所撮影用カメラ、GNSS、前方撮影用カメラ、LiDAR、側面撮影用カメラ(反対側にも設置)
MMS「mapryM2」のパーツ

これらの機器を使いながら走っている道路やその周辺の構造物の道路や位置情報や点の集合データ(点群データ)を収集し、詳細情報を把握しています。

3Dレーザースキャナーで相対座標、GNSSアンテナとIMUアンテナで絶対座標を取得して3次元データを得た後に、これらに重なる連続したカラー画像をカメラでキャプチャーすることで測量を行えるというのがこのシステムの技術的なバックグラウンドです。

MMSの3つの特徴

MMSは専用の機器を利用した車両を使って行う計測法のため、費用負担はそれなりにかかります。

ただそのコストに見合った以下のような大きなメリットもあり、注目されています。

  1. 車を走らせるだけで計測できる
  2. 点群データと動画データを同時に取得できる
  3. ドローンや三脚などの他のプラットフォームにはない強みがある

この3点についてそれぞれ簡単に解説します。

車を走らせるだけで計測できる

道路やその周辺の高精度な位置情報を得ようとする場合、従来は道路に交通規制をかけた上で計測機を設置して取得する必要がありました。

この方法だと住民の生活に影響を及ぼす上、関係省庁への届出など計測以外にも作業員に大きな負担をかけるために現実的とは言えない場所も多いです。

ただMMSを利用する場合は車を走らせるだけで計測することができるため、道路規制をする必要もなく作業員の労力を大幅に削減することが可能です。

交通規制の実施・解除にかかる時間も短縮され、短時間で計測できるというのも魅力といえるでしょう。

点群データと動画データを同時に取得できる

MMSの計測を行う専用車両にはカメラと計測機器が両方載せられていることが多いため、点群データと動画データを同時に取得することができます。

点群データは解析ソフトで容易に処理できるため、PC上で法面や舗装の異常検知など現場状況を容易に把握できるのが特徴です。

ただ実際に計測を行う場合入手した点群データをソフト上では問題なさそうに見えたものの、実際の土地利用や建物の状況はデータで示された状況と著しく異なるということも珍しくありません。

そのような点群データで捉えきれない細かな情報も、カメラに取り付けられた動画で確認することで追うことができ、データ計測終了後に情報を更新しやすいという点もまたMSSの強みと言っていいでしょう。

mapryM2をで取得した点群と動画

ドローンや三脚などの他のプラットフォームにはない強みがある

計測システムには様々な方法がありますが、MMSにはどのような特徴があるのでしょうか。

広範囲なデータを取得する場合は人工衛星や航空機、ドローンによる上空からの観測が考えられます。

しかし人工衛星や航空機、ドローンの場合は曇天や雨天時には雲の影響を受けてしまうことも多く季節や場所によっては計測が困難になることも見込まなければなりません。

この点 MMSは車両を地上で走行するだけのため、自然災害になるようなよほどの悪天候でない限りは天気に作用されにくいという点に強みがあります。

また1箇所に対して高精度な位置情報データ取得となると地上に設置した三脚やハンディLiDARなどのレーザーを使うという方法もあります。

三脚やハンディLiDARと比較し、車両を動かすMMSは広い範囲をカバーして周辺の情報もまとめて入手できる、当該地域の情報をくまなく網羅できるため計測忘れが起こりにくい、といったメリットがあります。

坂道など人力では労力がかかる場合でも、きちんと整備された道で車両が走行できればデータ取得が可能という点も大きな強みです。

このようにMMSには道路を中心とした計測手段として独自の強みがあるといえるでしょう。

MMSの活用法

専用車両を道路上で走らせるだけで分析を行えるMMSは近年、高精度な地図データが必要な場面で多く用いられるようになっています。

代表的な4つの事例を以下にまとめます。

災害状況の確認

地震や津波、洪水などによる土砂災害などにおいては、道路や街が平時に比べてどの程度被害を受けているか状況を把握することが欠かせません。

そんな時にMMSのデータを定期的に収集し、アーカイブとして残しておけば、3次元データを用いて災害時と平時の状況を比較・分析することができ、復興に向けた資料をして活用することが可能です。

また土砂堆積状況や土量計算も行えるため、定量分析を行うことができるのも強みとです。

自動運転

近年注目されている自動運転の実現には、高精度な地図情報が欠かせません。

しかも多くの会社が参入し競争の激しいマーケットになっているため、広範囲の情報を迅速に取得することが求められています。

そんな中道路やその周辺の状況を高精度かつ高頻度に分析できるMSSは、常に情報を更新し続ける必要のある自動走行の基盤地図であるダイナミックマップの構築に適合し、必要不可欠な技術として注目されています。

とりわけ除雪車などオペレータの高齢化や人材不足が深刻な用途においては、自動化の需要が高くそのベースとなるMMSは期待されている技術です。

特殊車両の通行許可申請

車体の幅や長さなどが道路交通法上の制限地を超える特殊車両を運行する際には、通行許可をあらかじめ申請する必要があります。

MMSを利用すれば特殊車両により影響があると思われる幅員や路肩、歩道橋や電線などのデータを取得し、仮想空間上で車両走行軌跡と道路空間データを3次元上で分析することが可能です。

これにより、道路交通の安全性を確保し通行許可申請の迅速化を行うことができます。

主なMMSのデータ提供元

MMSのデータは画像や3Dポリゴンなどファイルサイズが比較的大きなものが多く、データの提供元はシェイプファイルなどと比べると限られています。

しかし近年ではMMSのデータ蓄積も溜まり、また機器の性能も向上していることからデータを公開しているサイトも増えてきました。

代表的な2つのデータ提供元をご紹介します。

Google ストリートビュー

数あるMMSのサービスの中で最も有名なのが、Googleストリートビューです。

Google Map上で地点をクリックするだけで、当該の場所の画像を表示するという直感的な動作で、遠隔地の道路上の状況を把握することができます。

ストリートビューの画像はスクリーンショットの撮影や共有ボタンにより簡単に入手することができますが、実際に動いている車両から撮影した画像であるため、人や車番などの個人情報が写っています。

モザイクがけしていてプライバシー保全されていることは多いですが、念の為利用していいものであるのかを判断してから利用するようにしましょう。

国土交通省:MMSによる三次元点群データ等の提供事業

国土交通省では、平成30年度(2018年)よりモービルマッピングシステム(MMS)による三次元点群データなどの収集活用を行っています。

2022年にはその成果を道路交通上の課題解決に向けて民間企業などに有償にて公開開始しており、現在までに約21,000kmのデータが、提供事業者である一般財団法人日本デジタル道路協会のサイトにて提供されています。

同サイトにて提供されている関係書類を記入後に利用可能となるため、興味のある方は是非ともアクセスしてみてください。

https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001577.html

mapry M2について 

当社では、測定機器を搭載した専用の車両を走らせることで三次元データや画像などを取得できるMMS「mapry M2」を提供しています。

「mapry MS」では以下の機能を搭載し、土地利用や森林管理、インフラ点検などにおいて一度に多くの地上データを取得できるサービスを提供しています。

  • 現場の走行により法面や道路幅員、地物や街路樹の状況などの高精度点群データを取得する機能
  • 搭載されたカメラからの映像を点群データとリンクして動画として取得する機能
  • 専用ソフトで自動解析し、座標・断面図・地形データなどを取得する機能

道路状態の確認や法面・河川堤防の計測、電柱などの設備点検、防災用データの取得など様々なことにご活用いただけます。

詳しい情報をご覧になりたい方は、こちらのページよりお問い合わせください。

参考文献

クモノス編集部「モービルマッピングシステム(MMS)とは?達成できることや活用事例を知っておこう」クモノスコーポレーション株式会社ホームページ2023年12月26日https://kumonos.co.jp/media/mobile-mapping-system/ (2024年10月2日閲覧)

国土交通省「MMSによる三次元点群データ等の提供事業を開始」2022年8月19日https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001577.html (2024年10月2日閲覧)

一般財団法人 日本デジタル道路地図協会 「MMSによる三次元点群データ等の利用申請」https://www.drm.jp/pointcloud/ (2024年10月2日閲覧)

株式会社パスコ「MMS(モービルマッピングシステム)https://www.pasco.co.jp/biz/tech/mms/#:~:text=MMS(Mobile%20Mapping%20System:モービル,搭載型測量システムです%E3%80%82 (2024年10月2日閲覧)

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