【GIS基礎知識】WebGIS:4つのメリットやデメリット、代表的なサービスについて解説します
GIS基礎知識

【GIS基礎知識】WebGIS:4つのメリットやデメリット、代表的なサービスについて解説します

GISソフトウェアにはArcGISやQGISのようにパソコン上にインストールして行うもののほか、Web 上で分析可能なWebGISと呼ばれる種類が存在します。

インターネットに接続できる限り、場所や機種環境に関わらずアクセス可能という特徴もあり、近年では人気を集めています。

そんなWebGISのメリットやデメリット、代表的なサービスについて以下に詳しくご紹介します。

WebGISの概要

WebGIS(ウェブGIS)は、インターネット上で動く地理情報システム(GIS)のことです。

サーバー上で動作する仕組みのため、ユーザーはインターネットを通じて地理データの表示、分析、編集を行うことができるのが特徴です。

インターネット接続があればユーザーの環境に依存せずに使える、大量の地理データをローカルに保存する必要がないため動作が安定しやすい、といったメリットも存在するためハザードマップや環境調査などのデータ公開の際によく利用されています。

また、GoogleマップなどのWeb地図もWebGISの一種と言え、幅広い層に利用されていることも特徴です。

WebGISを利用する4つのメリット

WebGISはPCのスペックの問題が必要なくなる、共同編集しやすいなどクラウドアプリケーションならではのメリットがいくつか存在します。

以下に4つ簡単にご紹介します。

1. インターネットがあれば環境に依存せずに使える

地理空間分析の現場でよく利用されているGISソフトにはArcGISやQGISがあります。

しかし前者はWindows専用ソフトであるためMacbookやChromebookなどで利用することはできず、後者についてもインストール手順や機能拡張に難があるなどWindows環境以外では使用しにくい状況です。

またPC専用ソフトのためスマートフォンやタブレットPCでは利用することができません。

これに対しWebGISはインターネットさえあればどの環境でもアクセス可能であり、簡単に地理データへのアクセスすることができるようになります。

学生やデザイナーを中心に使用者が多いAppleのPCでも使いやすいという点では、従来のデスクトップアプリにない強みと言えるでしょう。

2. コストを削減できる

GISソフトウェアの中には数十万円するものもあり、かなり高額な初期コストがかかる場合があります。

QGISなどのフリーソフトを用いても、地理情報のファイルは数GB単位に及ぶ重いことも少なくなく、かなりの容量を割かれることも大きな難点となります。

そのため記憶媒体の投資にお金を取られることも珍しくありません。

ただWebGISであればサーバー側で処理が行われます。

そのためユーザーのPCスペックは問題にならず、費用を節約することができます。

土地利用や森林の植生など高精度の分析が必要でファイル容量が重くなりがちなデータを用いる場合は大きなメリットを得られると言えるでしょう。

3. 他の人との共同作業がやりやすい

WebGISは、他の人とのデータをやり取りしやすいのも大きな特徴です。

市販の専用ソフトで作成したGISの分析結果を共有する際には、普及率の高さからしばしばシェイプファイルが選ばれます。

しかし以前の記事(リンク貼り付け)でもお伝えしたようにシェイプファイルは「.shp」、「.shx」、「.dbf」、「.prj」などの拡張子で構成された複数のファイルの集合体のことを指します。

このためファイルの共有の際には必須となる全てのファイルを送る、またはファイル群を内包したフォルダを圧縮して送らなければなりません。

しかしこの方法では、ダウンロードしたファイルの保存場所に工夫が必要になる、MacOSなど環境によってはフォルダが文字化けして適切なファイルを使用できないなど、次の作業者側が円滑に作業をしにくい傾向があります。

これに対しWebGISは、サーバー上にデータが保存されるため、インターネットを通じて複数のユーザーが同じ画面上でリアルタイムに作業を進めることができます。

送付ミスが生じやすいシェイプファイルの共有作業が必要なくなるため、チームでのデータ分析やプロジェクト管理の効率を上げることができるのも、WebGISのメリットといっていいでしょう。

4. 更新性とメンテナンスの簡素化

従来のGISソフトウェアでは更新やデータのバックは個人で行う必要がありました。

特にMacOSなど一部環境においては対応するソフトであっても最新環境のものをインストールすることが不能にあることも珍しくありません。

そのため、最新のバージョンを手に入れるのは非常に手間のかかる作業でした。

これに対しWebGISでは、ソフトウェアのアップデートやデータのバックアップが中央で管理されるため、ユーザーは常に最新の状態を保つことができます。

そのためメンテナンスが容易になり、時間とコストの節約につながります。

WebGISのデメリット

利便性の高いWebGISですが、インターネットを使う仕組みであるため当然通信環境が整っていない場合は用いることができません。

災害が発生し通信機器に障害が発生した場所や、山奥など僻地で電波が届かない場所、インターネットに接続できないPCでは利用できないことには十分に注意しましょう。

また様々な機器でアクセスできることも強みではあるものの、スマートフォンやタブレットなど画面が小さい場合は広範囲の地図データを閲覧しにくいという点にも注意が必要です。

代表的な3つのWebGISサービス

2000年代以降ソフトウェアのクラウド化が進む中、WebGISについても多くの会社が提供するようになりました。

その中には新たに登場したものだけでなく、古くからPCにインストールするGISソフトウェアとして有名な提供元が新サービスとして展開しているものもございます。

代表的なものを3つご紹介します。

ArcGIS Online

Esri社が提供するArcGISは代表的なGISソフトウェアとして有名ですが、そのオンライン版である「ArcGIS Online」もメジャーなWebGISプラットフォームの一つとして知られています。

このプラットフォームを使えば、マップ上でのデータ操作、地図データの作成や共有、共同編集などを簡単に行うことができます。

また作成した地図データをもとにアプリケーションを作る企業も多く、住民への災害関連情報の共有などで用いる企業や自治体も珍しくありません。

地図データの分析にArcGISを使ってはいるものの、お客さまへの共有に悩まれている方にはおすすめのツールです。

ArcGIS Onlineはこちら

QGIS Cloud

代表的なフリーソフトであるQGISも、Webサービスである「QGIS Cloud」を提供しています。こちらもArcGIS Onlineと同様、QGISを持っていないユーザーであっても地図を簡単に公開し、プロジェクトを管理・共有しやすくなるというメリットがあります。

「QGIS  Cloud」はソフトウェアに専用のプラグインを用いることで簡単に始めることはできます。

ただサービスサイトが英語である、用いるマップデータによってはサイト上で別途設定が必要になるなど、人によってはわかりにくさを覚えるサービスかもしれません。

QGIS Cloudはこちら

Google Earth Engine

Googleが提供する「Google Earth Engine」は、地球規模のデータを統合・分析し、地理空間情報を科学的に解析するためのプラットフォームです。

過去40年以上にわたる衛星データを統合し、うち32年間については雲のない連続的な画像で見ることができるため、気候変動など広範囲にわたる地理空間分析が必要な場合に向くツールと言えます。

クラウドツールやマッピングに強いGoogleならではのサービスと言えますが、基本料金が月額500ドル(2024年5月19日時点で約78,000円)とWebGISソフトの中ではかなり高額であることには注意してください。

Google Earth Engineはこちら

マプリィの提供するWebGIS

ここからは森林テックを運営する「株式会社マプリィ」が提供するWebGISを紹介いたします。

mapry GIS

mapryGIS画面

当社が提供するmapry GISもWebGISの一種です。

「mapry GIS」を持ちいれば、スマートフォンアプリ「mapry林業」や「mapry測量」を用いて計測したデータをアップロードすることで測量野帳の作成や出力、CAD機能による作図、点群データの閲覧などを行うことが可能です。

このデータは各種アプリケーションとクラウドで連携することでWebブラウザ上で行うことが可能です。

PCのデスクトップアプリ上で森林や測量に関する情報を扱う場合は、高い精度を要求されるためファイル数も多くなりがち。

そのためデータの再確認や他ユーザーの共有の際、送付ミスなどでうまく作業を進めなくなるケースが珍しくありません。

そんな中「mapry GIS」を用いればアップロードから編集までクラウド連携できるため、圧縮などで起こるトラブルなく進められるのが魅力です。

「mapry林業」や「mapry測量」などのアプリを契約していれば、mapryGISは無料で利用できます。

興味がある方はこちらのページにて詳しい情報を確認できます。

mapryGIS操作画面:CADも可能

森林マップ

森林マップ画面

当社の「森林マップ」も林業や水源管理など森林分野で活動されている方におすすめのWebGISツールです。

「森林マップ」では検索した場所のCS立体図や森林計画図を地上の計測データと連携して地図上で表示できます。

通常のGISソフトのように観測データとベースマップ間で座標系や標高データを調整するなどの手間がかからないため、作業時間や作業ミスを大幅に削減できるのが大きな魅力です。

特に林業に携わる方にとっては、森林資源量データをもとに林班ごとの材積予測をグラフで表す機能もあるため、長期的な施業計画にも役立てることができます。

ポリゴンの作成といった基本的なGISの機能も備わっており、森林整備事業の申請にも活用可能です。

「森林マップ」は通常のパソコンやiPadで簡単にアクセスでき、アカウントを作成すれば誰でも無料で利用できます。

PC環境や作業の手間の関係で、従来のGISソフトウェアでの分析にハードルを感じる方におすすめのサービスです。

詳しい情報はこちらのページにてご紹介しています。

まとめ

GISについては他の方にデータを見せたり共同編集する際にはソフトのインストールやファイル共有などでつまづくことが多く、ハードルの高さを感じる人も珍しくありません。

そんな中でWebGISツールはインターネット環境さえ整っていれば、クラウドサービスならではのメリットを活かして、活用に至るコストや時間を大幅に削減してくれるのが大きなメリットと言えるでしょう。

複数人のチームで地理空間分析を行いたい場合や作成したマップをご自身のWebサイトなどで公開したい場合には是非とも検討してみてください。

また当社の「mapry GIS」も測量や森林分野においては、業務上必要なサービスを多く兼ね備えている関係でかさばりやすく整理しにくい紙の資料を削減できるなどのメリットもあるため気になっている方は是非とも公式ページにアクセスしてみることをおすすめします。

参考文献

国立研究開発法人国立環境研究所「WebGISによるデータ収集・共有・発信」気候変動適応情報プラットフォーム https://adaptation-platform.nies.go.jp/local/communication/collaboration/webgis.html (2024年5月16日取得)

株式会社ゼンリンデータコム「デジタル地図とは?できることやメリット・デメリットを解説」https://www.zenrin-datacom.net/solution/blog/digitalmap#66010a40f690ad075765b2b5-1711344683736 (2024年5月19日取得)

まずは資料請求・問い合わせをする

スマート林業や最新の森林管理に興味があるけれど、コスト面やツールを使いこなせるか不安で踏み出ずにいませんか?

mapryは三次元データなどの取得・活用を誰もが手軽・お手頃に行える

・無料の木材検収アプリケーション

・立木資源量・地形情報等を歩くだけで計測・解析ができるLiDAR計測システム

・森林情報を手軽に活用していただけるwebGIS

といったソリューションを提供しています。

ぜひ、貴社のスマート林業化や森林管理にもご活用ください。

 

無料で資料請求・問い合わせをする