【するする登る】枝打ちマシンとは?特徴や製品を紹介 |
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【するする登る】枝打ちマシンとは?特徴や製品を紹介

林業の作業の1つである枝打ち。近年では枝打ちを自動で行う「枝打ちマシン」が登場しています。

本記事では枝打ちの概要や枝打ちマシンの特徴、代表的な枝打ちマシンを紹介します。

枝打ちの機械化に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

枝打ちとは?

枝打ちは人為的に樹木の枝を落とす林業の作業の1つで、良質な木材を生産するために行います。

樹木から伸びる枝は、製材時に節となって現れます。

節のない木材は無節材と呼ばれ高値で取引されるため、少しでも無節材を生産するために枝打ちが行われるのです。

近年では大雨による被害が多く見られ、山林からの土砂の流出が心配されています。

枝打ちには林内に入る日光を増やす役割もあり、日光が入り込んだ林内では草などが良く育ちます。

その結果、雨から表土を守る力が増えるため、枝打ちの重要性は高まっているといえるでしょう。

本来枝打ちは、はしごを使用したり冬の降雪を利用したりして、高所にある枝を人力作業で切り落としていました。

鉈(なた)や鋸(のこぎり)を使用する枝打ちは、切り口をきれいに仕上げる職人芸とされています。

林業の機械化の流れで、枝打ちも自動で行うマシンが開発されています。

枝打ちマシンの特徴とその効果

自動で枝打ちができる「枝打ちマシン」には、以下のような3つの特徴があります。

  1. 安全に枝打ちができる
  2. 生産性が高い
  3. 簡単に操作できる

ここでは、それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。

1.安全に枝打ちができる

枝打ちマシンは、基本的にリモコンを使って遠隔操作できます。

作業者は木に登らずに対象木から離れて操作できるため、安全な枝打ち作業が可能です。

枝打ちは本来、高いところに人が登って作業しているため、危険を伴います。

高所での作業であるがゆえに、誤って木から落ちてしまう事故も起きます。

枝打ちだけでなく、林業は労働災害の多い仕事です。

機械化によって安全作業が可能になるのであれば、導入する価値は非常に高いといえます。

2.生産性が高い

枝打ちマシンは人力で作業するよりも効率的な枝落としが可能で、高い生産性に特徴があります。

自動枝打ちロボットの「eddy」の作業能力紹介によると、直径9cmの樹木の枝打ちを行った場合、約2~3分ほどで作業が完了するとのこと。

人力作業であればはしごの設置などにも時間を要するため、枝打ちマシンを使った作業はスピード感があるといえるでしょう。

機械であることから、人間が作業するような体力の消耗などもなく一定のスピードで進められるのも、生産性が高いポイントです。

簡単に操作できる

作業熟練者でなくとも簡単に作業できるのが、枝打ちマシンを使用するメリットの1つです。

人力の枝打ちは刃物の取り扱いを含め、高度な技術を要する作業です。

そのため、技術の習得には一定の期間を必要とします。

しかし、枝打ちマシンであれば枝打ちの習熟度とは関係なく、誰でも比較的容易に操作可能になります。

新規就労者が枝打ちを行うのであれば、枝打ちマシンを使用した方が効果的に作業できるでしょう。

新規就労者を育てる際は教育コストがかかるぶん、生産性は落ちやすいものです。

しかし、枝打ちマシンを利用する新規就労者と、手作業で仕事をする熟練作業者が一緒に作業するのであれば、一定の生産性を保つことが可能です。

代表的枝打ちマシンを紹介

ここでは、代表的な枝打ちマシンである、「eddy」と「やまびこ」を紹介します。

それぞれの特徴について見ていきましょう。

eddy

イー・バレイ株式会社が販売する「eddy」は、新世代の枝打ちマシンとして期待されています。

安全と簡単を売りにしていて、シンプルな操作性で作業初心者の方でも効率的に枝打ちが可能です。

直径約18cmまでの幹に取付可能で、枝打ちが必要な樹木のサイズに適応しています。

重量は約11kgと林業機械の中では小ぶりで、手に持って運べる利便性があります。

背負うこともでき、両手を空けての移動も可能です。

作業管理にも適していて、搭載されたGPS機能を用いながら「いつ・どこで・どのような」木を枝打ちしたかが記録できます。

まさに、新世代の枝打ちマシンの名にふさわしい機能といえるでしょう。

ただし、雨の日の作業には適していないため、晴れの日専用マシンとなっています。

eddyの詳細はこちら

やまびこ

「やまびこ」は、ヤンマーの通称で知られる農機具メーカーと関係の深い、セイレイ工業株式会社が生産した枝打ちマシンです。

大径木用の枝打ちマシンとして開発され、20年ほど前に販売されました。

ガソリンを燃料としていてパワーがあるため、胸高直径(胸の高さの木の直径)およそ22cmほどまで枝打ちが可能です。

そのぶん、重量は約30kgほどあり、山林での運搬は困難を極めます。

斜面がある程度ゆるいところでなければ、持ち運びだけで大変となるでしょう。

枝打ち能力は古い機械といえども十分で、機械の据え付けを含めて1本5分程度で枝打ちが完了するといわれます。

リモコンで動かせるため、遠方からの安全な操作が可能です。

現在は生産を中止しているものの、オークションサイトなどでは見かけられます。

斜面のきつくない場所で大規模な枝打ちをするのであれば、検討しても良いかもしれません。

まとめ

枝打ち作業の主な目的は、良質な木材を生産することと、林内に光を入れるために行われます。

以前は高所に登って行う人力作業が当たり前でした。

近年では、リモコン操作による「枝打ちマシン」が登場し、新規就労者でも安全に作業できるようになっています。

生産性の向上や安全面を考慮して、枝打ちマシンを取り入れてみてはいかがでしょうか。

本記事が枝打ちマシンを知るための参考になれば幸いです。

参考資料

森林利用学会誌.枝打ち作業における人力と機械力の作業能率と労働負担について.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfes/19/1/19_KJ00007485145/_article/-char/ja/(2024年7月20日取得)

イー・バレイ株式会社.自動枝打ちロボット:eddy.https://e-valley.co.jp/eddy(2024年7月20日取得)

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