森林内にある立木(立っている木のこと)の材積を知るために行われるのが毎木調査です。
基本的には1本1本を調査をする大変な作業です。
本記事では、毎木調査の概要と作業方法について実体験によるアドバイスを交えながら解説します。
スマートフォンアプリを利用した毎木調査も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
毎木調査とは
毎木調査とは、森林内の立木を調査し、必要となる情報を入手することをいいます。
毎木調査によって収集されるのは、以下の情報です。
- 樹種
- 幹の太さ
- 立木の高さ
- 立木の状態
収集したこれらの情報から、森林内における木の容量である材積を計算します。
集計された材積は、間伐や皆伐の際の見積りなどに役立てられます。
調査結果と実際に伐り出した材積との違いが大きいと、見積りよりも清算金が減ってしまったり、工期を正確に読み取れなくなってしまったりします。毎木調査の結果を信頼できるデータとするためには、測った材積と実際の山から伐り出された材積を比べ、経験を積み重ねて精度を上げていきましょう。
毎木調査の方法
毎木調査の方法は、以下の手順によって行われます。
- 必要な道具を用意する
- 対象木の直径と樹高を測る
- 測量野帳に記入する
- データ化する
ここでは、それぞれの手順について詳しく紹介します。
必要な道具を用意する
毎木調査に必要な道具は、次のような物が一般的です。
- 図面:航空写真や等高線付きの図面など
- 野帳:調査内容を書き留める屋外用のノート
- 筆記用具:野帳への書き込みに使用する
- 輪尺:立木の直径を測定する
- 樹高測定機:樹高を計測する
- チョーク・マーキングテープ:印付けに使用する
キャリパー(輪尺) 出典:Amazon
これらの他に、山で活動するために必要な道具一式が必要になります。
上記の道具については、ほとんどが替えのきかない物ばかりです。現場に着いてから忘れたことに気づくと、大変な時間のロスになるため、確認は念入りに行いましょう。
対象木の直径と樹高を測る
対象木の直径と樹高を測ります。
間伐であれば伐採対象木だけを測りますし、皆伐であれば全ての立木が調査対象です。
立木の直径は以下のようにして測ります。
- 対象木の山側(斜面の上側)に立つ
- 胸の高さで対象木に輪尺をあてる
樹高は主に機械で測りますが、1本1本測るときもあれば、代表的な立木をサンプルとして測って、森林全体に反映させることもあります。
また、測っている際に、立木が形質不良かどうかも判別します。
大きく曲がっていたり、途中で折れてしまっていたりすると、材積に影響するからです。
調査の重複を防ぐために、テープやチョークで印を付けて1本の立木に対する調査は終了です。
テープやチョークでの印付けは、測る前に行っても大丈夫です。自分がやりやすい方で行いましょう。
測量野帳に記入する
計測した立木の直径や樹高を測量野帳に記入します。
測量野帳の記入者は調査者とは別にいる場合が多く、役割分担によって調査者の数をある程度増やすことで効率的に作業できます。
人数を多くしすぎてしまうと、調査内容を叫ぶ声が重なりやすくなり、あまり効率的ではありません。ひとりの野帳記入者に対して、調査者3人程度であればスムーズに記入できるでしょう。
データ化する
現場から持ち帰った野帳は、専用のソフトやExcelなどを使いデータ化します。
結果は、材積である「m3」で表されることが多いです。
計算された材積は事業の見積資料などに使われます。
立木を買う場合は、毎木調査で知り得た材積に木材の単価を乗じて見積り金額が算出されるため、調査を任せた森林所有者にとっても非常に重要な意味を持ちます。
毎木調査の注意点
毎木調査では、正確な材積計算が求められます。
そのため、調査木の重複には十分に注意する必要があります。
とくに、重複を防止するために木材チョークで印を付ける際は、他の人から見てはっきりとわかるように印を付けることが重要です。
具体的には、幹の横側や裏側までマーキングするとより判別しやすくなるでしょう。
遠くからでも調査済みの立木がわかりやすくなるため、無駄に歩く量も減ります。
その点、テープでの印付けは、チョークよりは視認性が良いため、調査の重複は少なくなります。
毎木調査は、基本的にチームで行われます。斜面で複数人が作業することになるため、作業中に石を転がしてしまわないように気をつけましょう。
もし誤って大きな石を下に転がしてしまうと、大変危険です。歩く際も十分に気をつけましょう。
アプリで行う毎木調査【mapry林業】
「mapry林業」は、これまでアナログ的に作業していた毎木調査を、より簡単に精度良く調査できるように開発したスマートフォンアプリです。
iPhoneやiPadをかざすだけで1本1本の直径や樹高を計測し、立木が山林のどこに位置するかを記録します。
計測したデータはアプリでその場で確認できます。
さらにWebGIS「mapryGIS」と連携しているので事務所に戻った後もスムーズに調査結果を確認でき、帳票として出力もできるので簡単に提出資料を作成できます。
標準地調査にも対応しているため、立木の全てを調査せずとも、山全体の材積推定が容易にできます。
毎木調査の効率化が可能なほかにも、周囲測量や作業道の計測もできる「mapry林業」。
ご興味のある方は、ぜひこちらから詳しい情報をご参照ください。
まとめ
毎木調査は立木の容量である材積を測る大切な作業です。
計測してきたデータは事業見積りなどの資料作成に使われます。
基本的にはチームで調査することが多い作業のため、他の作業者と役割分担を行い、山林を調査します。
精度の高い毎木調査をするためには、計測データと実際に山から切り出されたデータを比べ、日々作業の改善を図ることが重要です。
この記事が、毎木調査を知るための参考になれば幸いです。