【コラム・林業の安全1】なぜ安全に作業する必要があるのか?
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【コラム・林業の安全1】なぜ安全に作業する必要があるのか?

林業が危険な業種であることは、数字から見ても明らかです。

本記事では、当たり前のことではあるかもしれませんが、なぜ安全に作業する必要があるのかをテーマに、数字を交えながら考えていきたいと思います。

今後は森林・林業の安全について、毎月連載のコラムで紹介します。

今回は第1回目の記事です。

ぜひ最後まで読んでみてください。

林業はなぜ安全に作業する必要があるか

林業は常に安全作業が叫ばれている業界です。

なぜ林業は安全を意識して作業する必要があるかは、以下の理由が挙げられます。

  • 林業は死傷者率が圧倒的に高い危険な職種であるから
  • 意識改革や教育により防げる事故があるから

これらについて詳しく解説するため、林業の災害について「数字」と「現場」の2つの視点から読み解いていきます。

数字で見る林業の災害

ここでは、林業の災害を数字で見てみようと思います。

どれだけ林業が安全に気を配るべきか見えるものがあるはずです。

林業の産業別死傷年千人率は圧倒的に高い

以下は、平成26年から令和5年までの産業別死傷年千人率を表にしたものです。

出典:林業・木材製造業労働災害防止協会「死傷千人率産業間比較」(平成26年〜令和5年)

死傷千人率は「1年間の死傷者数」を「1年間の平均労働者数」で割ったものです。

この数字の示すところは、「数字が多ければ災害にあう可能性が高い」ということです。

黄色部分が、林業と木材・木製品の製造業における死傷年千人率を表します。

他産業よりも圧倒的に死傷者が出る確率が高いのは、林業やそれに付随する木材・木製品の製造業であることがわかります。

さらにいえば、令和5年度において2桁を超しているのは、林業にかかわる2業種のみです。

林業は単純に災害にあう確率が高いため、他業種と比べより安全に作業する必要がある、といえるでしょう。

災害のうち2.5%程度は死亡事故になる

林業ではどの程度の割合で死亡事故が起きてしまうのか、以下は林業における都道府県別の死傷災害の発生状況を示したものです。

出典:林業・木材製造業労働災害防止協会「林業における都道府県別死傷災害発生状況」(平成26年〜令和5年)

表における林業の災害中、約2.5%ほどが死亡事故になっているのがわかります。

建設業の災害防止に尽力している、建設業労働災害防止協会の調査によると、建設業における令和4年度の同数値は約1.9%ほどです。

外仕事である点や重機を扱うといった観点から似たような業種ではありますが、依然林業の災害は死亡事故につながりやすいといえるでしょう。

事故の起こる確率が高く、さらに事故そのものが死亡事故につながりやすいのが林業です。

「林業は死傷者率が圧倒的に高い危険な職種である」ことをご理解いただけたでしょうか。

現場で見た林業の現状

林業現場において、筆者の感覚からするとまだまだ安全に対する意識は薄いと感じています。

自然とかかわりあう仕事であるため、「最後は神頼み」としているところも少なくありません。

例として、自分が遭遇した不安全な行動を列挙します。

  • ヘルメットをしないで作業する
  • 刈払機の飛散防止カバーを外して作業する
  • 伐倒時の立入禁止区域内に入って作業する
  • 作業計画書が作成されていないまま作業する
  • チャップスなど着用せずにチェーンソーで軽作業をする
  • シートベルトをせずに重機を運転する

もちろん、守って作業している方も多いですが、徹底はされていないと現場を見ていて思います。

また、災害事例報告などを読み解くと、基本作業が守られていないために災害に至っているケースも見受けられます。

このような問題は作業員の意識によって改善できるため、安全作業への道はまだまだ高める余地が残されているでしょう。

「意識改革や教育により防げる事故がある」ことをご理解いただけたでしょうか。

まとめ

林業ではなぜ安全作業をしなければいけないのか。

林業にかかわらず、安全作業は仕事をするうえでは欠かせないものです。

しかし、林業ではなおのこと安全に対する意識をもつ必要があります。

それは、林業は数字から見ても非常に危険な業種であり、ひとたび災害が起こると死亡事故にもつながりやすい仕事だからです。

死亡事故に至らずとも、けがの度合いによっては歩行が困難になり、松葉杖や車椅子の生活を余儀なくされる場合もあります。

治るけがであれば良いですが、後遺症が続くケースでは障害と一生付き合っていかなければいけません。

また、事故を起こしてしまっては、自分のみならず職場の人たちに多大な迷惑をかけてしまいますし、家族も悲しませてしまいます

ときに大切な人の顔を思い浮かべ、安全作業に立ち返ることが必要です。

「死亡事故は絶対に起こさない。」

その思いと安全のための行動が欠かせません。

誰でも起こしたくて起こす事故はないと思いますが、この記事を読むことで、安全への気持ちをさらに高めてもらえればと思います。

次回第2回目のコラムテーマは、「林業において安全作業するうえで考えたい基本的なこと」です。

ご期待ください。

参考資料

林業・木材製造業労働災害防止協会「死傷千人率産業間比較」.https://www.rinsaibou.or.jp/disaster/toukei.html(2024年8月29日取得)

建設業労働災害防止協会「建設業における労働災害発生状況」.https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/occupational_accidents.html(2024年8月29日取得)

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