【コラム・林業の安全3】初心者でもできる7つの安全対策
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【コラム・林業の安全3】初心者でもできる7つの安全対策

コラム「林業と安全」では、依然として危険度の高い林業の安全性向上のため、実体験を基にしたノウハウをお伝えしています。

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3回目となる林業コラム記事のテーマは、「林業初心者でもできる安全対策」です。

今回のコラムでは、スキルや経験がなくても取り組める安全対策を紹介します。

内容は以下の通りです。

  1. 安全装備を身に付ける
  2. 作業手順書を確認する
  3. 法令を守る
  4. 機械の点検漏れをなくす
  5. 危険予知活動を行う
  6. 適度な休憩を自分から申し出る
  7. 日頃の体調を万全にしておく

自分の身を守るために、ぜひご一読ください。

1.安全装備を身に付ける

林業では作業者の安全を確保するために、多くの安全装備が開発されています。

林業に従事して間もない方が安全を確保するためには、経験などに頼らずとも効果が期待できる、安全装備を確実に身に付けることが大切です。

法令で着用が義務付けられている、「チェーンソーによる切創防止用の防護衣」を筆頭に、ヘルメットや長靴、林業用ブーツなどは着用必須のアイテムです。

安全装備の導入については、緑の雇用事業などをはじめ、補助金制度も手厚くなっています。

ぜひとも活用して、自分の身を守ってもらいたいと思います。

以下に作業種別の代表的な安全装備品を表にまとめましたので、参考にしてください。

作業の種類安全装備品
共通ヘルメット
長袖長靴
林業用ブーツ
呼子(ホイッスル)
手袋
チェーンソー使用時切創防止用防護衣(チャップスなど)
防振手袋
イヤーマフバイザー(防護網)
刈払機使用時防護メガネ
防蜂ネット
レガース(すねあて)
防振手袋
調査作業時熊鈴熊よけスプレー

各作業に熟練した先輩方に、身に付けているものを聞いてみるのも良いでしょう。

2.作業手順書を確認する

初めての作業に入る前には、作業手順書を確認しておきましょう。

作業手順書は作業の進め方や、注意すべきポイントが記されたものであり、多くは安全面も考慮された上で作られています。

広島県のホームページでは、伐木・下刈り・かかり木処理についての作業手順書を公開しています。

参考:広島県「林業での安全衛生管理に関するお役立ちまとめ

まだ見たことのない方は、ぜひ一度内容を確認してみましょう。

勤め先に作業手順書があればそちらを参考にし、安全に作業するための方法を知識として身に付けましょう。

3.法令を守る

林業では安全に作業するために、守らなければいけないいくつかの法令があります。

作業者が守るべき事項を定めているのは「労働安全衛生法」の中の「労働安全衛生規則」です。

林業に関わる代表的な規則の例は以下の通りです。

  • 伐木作業における危険の防止関係
  • かかり木処理の作業における危険の防止関係
  • 立入禁止関係
  • 下肢の切創防止用保護衣の着用関係

出典:厚生労働省「伐木作業等の安全対策の規制が変わります!

どの規則も、これまでの労働災害を基に法令としてまとめられたものですから、守ることができれば危険な作業をせずに済むでしょう。

例えば、「林業・木材製造業労働災害防止協会」で掲載されている災害事例研究を見てみますと、No.168ではかかり木に浴びせ倒しを行い、浴びせ倒しをした木に激突したとされています。

現在安全衛生規則で禁止されている「浴びせ倒し」を行わなければ、発生しなかった可能性のある災害事例です。

出典:厚生労働省「伐木作業等の安全対策の規制が変わります!

また、同災害事例研究のNo.77では、同僚が伐倒したスギが直撃したとされています。

こちらも安全衛生規則で禁止されている、伐倒の際の「立ち入り禁止の範囲」を守れていれば、防げたはずの事故です。

出典:厚生労働省「伐木作業等の安全対策の規制が変わります!

林業には法令によって禁止されてる作業がいくつもあります。

法令を守り、林業において起こりやすく重大となりやすい事故から自分の身を守りましょう。

4.機械の点検漏れをなくす

林業の作業においては、機械は欠かすことのできないアイテムです。

代表例としてはチェーンソーや刈払機が該当しますが、毎日の点検を漏れなく行うことで、機械の異常による事故を防げます。

機械の点検には、チェックリストなどを用いるのが有効的です。

出典:秋田県林業研究研修センター「チェーンソーのメンテナンス

チェックリストの活用を繰り返し行い、点検するのがクセになってもらえれば良いと思います。

5.危険予知活動を行う

危険予知活動は別名「KY活動」とも呼ばれ、建設業や製造業でも活用されているもので、労働災害を防ぐために行われる安全活動の1つです。

作業に潜んでいる不安全な状態や行動を事前に洗い出し、対策を考えることで効果を発揮します。

実際に危険予知活動を行ったあとは先輩方に見てもらうなどして意見をもらうと、より効果が期待できるでしょう。

「KY活動・様式」などのキーワードで検索すると、テンプレートは簡単に見つけられます。

ぜひ活用してみてください。

6.適度な休憩を自分から申し出る

現場作業では、疲労状態で注意力が散漫になっているときに事故が起こりやすくなります。

自分から申し出ることは難しいかもしれませんが、「疲れているな」と思ったら、勇気を出して同僚などに伝えてみましょう。

慣れない山林での作業は、想像以上にさまざまなところが疲労しています。

適度に休憩していれば疲労もたまりにくくなり、集中力も保ちやすくなります。

体力は仕事をしているうちに段々と身につくものですから、「林業に向いていないのかな」などと、とくに落ち込む必要はありませんよ。

7.日頃の体調を万全にしておく

第2回のコラムでもお伝えさせていただきましたが、林業では体調を整えることも大切な安全対策の1つです。

それは意識次第で林業初心者でも取り組めますから、ぜひ実践してもらいたいと思います。

もし体調不良があった場合は無理せず、休みをもらうことも大切な判断です。

無理に出勤して事故を起こしては、多くの方に迷惑をかけてしまいます。

林業の始業は早朝の場合も多いため、早めの就寝を心がけて日頃から体調を整えましょう。

まとめ

今回のコラムでは、「林業初心者でもできる安全対策」をお伝えいたしました。

全ての作業は安全の上に成り立つものですから、今回の内容を基にぜひ行動に移しましょう

次回第4回コラムテーマは、「刈払機作業時の注意点」です。

ご期待ください。

参考資料

広島県.林業での安全衛生管理に関するお役立ちまとめ.2022年4月13日.https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/86/ringyo-anzen-yakudachi.html(2024年10月取得)

 e-Gov法令検索.労働安全衛生規則.https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032(2024年10月取得)

厚生労働省.伐木作業等の安全対策の規制が変わります!.https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001796597.pdf(2024年10月取得)

秋田県林業研究研修センター.チェーンソーのメンテナンス.https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000056400_00/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9No.30.pdf(2024年10月取得)

厚生労働省.伐木等作業における最近の労働災害事例.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000185109.pdf(2024年10月取得)

林業・木材製造業労働災害防止協会.災害事例研究https://www.rinsaibou.or.jp/safety/research/index.html#:~:text=%E6%9E%97%E6%A5%AD%E3%83%BB%E6%9C%A8%E6%9D%90%E8%A3%BD%E9%80%A0%E6%A5%AD%E5%8A%B4%E5%83%8D(2024年10月取得)

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