林業の作業をするにあたって、避けては通れないのが虫による危害です。
毎日林業の現場で作業している方の中には、「林業は好きだけど虫は嫌い」「虫対策ができるアイテムを知りたい」などと思われている方もいると思います。
本記事では林業で気をつけるべき虫や、虫対策ができるアイテムを紹介します。
虫対策用のアイテムを選ぶポイントや、アイテムがなくてもできる対策方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
林業で気をつけるべき虫
林業で気をつけるべき虫は次の通りです。
- スズメバチやアシナガバチ
- マダニ
- アブや蚊
- 山ビル
それぞれの虫の特徴や、注意すべき点について解説します。
スズメバチやアシナガバチ
山林に生息する昆虫の中でも危険性の高い虫がスズメバチやアシナガバチです。
林業の作業現場にも巣を作り、被害に遭うことが多い虫です。
スズメバチやアシナガバチに刺されると強い痛みを感じ、人によってはアレルギー反応などにより重症化します。
7〜11月頃は攻撃性が高まっているため、とくに注意が必要な時期です。
林業従事者は身を守るために、ハチと遭遇する前提で準備しておく必要があります。
マダニ
マダニは全国に生息し、山林にある草むらなどに潜んでいます。
吸血されると感染症を引き起こす場合があり、重症化するリスクのある危険な虫です。
マダニが活発に動くのは3〜11月です。
イノシシやシカ、野ウサギなどに取り付いているため、野生動物の多い地域に多く存在します。
スズメバチなどと同様に危険な虫といえるでしょう。
アブや蚊
アブや蚊は吸血によって人間を攻撃する虫です。
どちらの虫も吸血された箇所が腫れ上がってかゆくなる特徴があるため、刺されないような対策が必要です。
かゆみを放ってかきむしってしまうと、皮膚がただれてしまう場合もあります。
地域によって異なるものの、アブや蚊は6〜9月の夏を中心とした季節に発生します。
夏に山林に入る方は、肌を出さない対策をするようにしましょう。
ヤマビル
人間の身体に取り付き、皮膚を削って吸血するのがヤマビルです。
ヤマビルの生息地は、秋田県から沖縄県までと広い地域に広がっています。
ただし、全国どこにでもいる訳ではなく、一定の地域のみに生息します。
気になる場合は、もよりの森林組合や林業関係者にたずねると良いでしょう。
ヤマビルに吸血されるとかゆみが出る場合があるため、患部に薬を塗るなどしてかきむしらないようにする必要があります。
活動期間は4〜11月と長く、その時期に山林に入る場合には、対策をしてから行くようにしましょう。
虫対策できるアイテム4選
虫対策ができるアイテムには以下の4つがあります。
- ハチノック
- 森林香
- ヤマビル専用スプレー
- ダニ忌避剤
林業現場で虫から危害を受けないために、自分に必要なアイテムを準備しましょう。
ここでは、それぞれのアイテムについて詳しく紹介していきます。
1.ハチノック:ハチを撃退する
ハチノックは、スズメバチやアシナガバチを撃退するための護身用の殺虫剤です。
全国森林組合連合会が発行している「令和6年度安全対策商品カタログ」にも掲載されています。
ハチノックには以下の3種類のタイプがあります。
- ハチノックS:小さめのサイズで霧状に液体が飛ぶ
- ハチノックL:大きめのサイズで液体が飛ぶ
- ハチノックV:ハチノックLよりさらに容量が大きい
ハチノックを使用する際には、定められた射程を守り離れた位置で噴射しましょう。
撃退しそこねたハチが攻撃してくるかもしれないからです。
携帯に便利なのは、小さいサイズのハチノックSです。
小さい巣であれば、まるごと撃退できるため簡易的なハチ対策としておすすめできます。
2.森林香:アブや蚊を寄せ付けない
森林香はアブや蚊を寄せ付けない、強力な防虫用の線香です。
家庭用の蚊取り線香と比べて線香部分が太く、有効成分を含んだ煙が多く出ます。
燃焼時間が5〜6時間と、一般的な蚊取り線香よりも長い効果が期待できます。
さらに効果が強力な「パワー森林香」という製品もあり、少しでもアブや蚊を寄せ付けたくない方は検討してみましょう。
3.ヤマビル専用スプレー:ライターで撃退もできる
イカリ消毒 ヤマビルファイター 出典:Amazon
ヤマビル専用スプレーは、作業ズボンや長靴にスプレーすることでヤマビルを寄せ付けなくできる忌避剤です。
一般的な殺虫成分も含まれているため、ヤマビルをはじめ、毛虫やクロアリなどにも効果があります。
忌避剤を使用していてもヤマビルに取り付かれてしまった場合には、ライターの火を当てることでも撃退可能です。
ヤマビルの生息地に向かう際は、念のためにライターも携帯しておくと良いでしょう。
4.ダニ忌避剤:まんべんなく振りかける
マダニの忌避剤を衣服や靴の上から振りかけることで、マダニを寄せ付けない効果が期待できます。
また、マダニの忌避剤に含まれるディートと呼ばれる成分は、他の虫へも作用します。
そのため、アブや蚊をはじめ、山ビルにも効果があるとされています。
ディートは昔から日本で長く使われている虫よけ成分であるため、安心感をもって使用できるでしょう。
虫対策できるアイテムを選ぶポイント
虫対策できるアイテムを選ぶポイントの1つは、SNSやWebサイトの口コミで高評価を得られているかどうかです。
とくに林業従事者の実体験などを発見できれば、該当する製品を使うための良い判断材料となるでしょう。
また、昔から長く使われているアイテムも、製品を選ぶ際のポイントです。
長く使われている製品はこれまでの実績があるため、信頼して使えるでしょう。
アイテム以外で虫対策する方法
虫対策用のアイテムを用意できない場合には、以下が有効的な対策方法です。
- 匂いの強いものを身にまとわない
- 肌を露出しない
ここでは、それぞれの方法について解説していきます。
匂いの強いものを身にまとわない
山林へ出かける際は、匂いの強いものを身にまとわないようにしましょう。
血を吸う虫は、匂いなどを感知して吸血する対象を探し当てます。
そのため、強い匂いを発していると、自分に吸血する虫を引き寄せてしまいます。
普段から清潔な格好をしたり、過度な香水の使用を控えたりして、自分の回りから強い匂いを出さないようにしましょう。
肌を露出しない
肌を露出しないことも、虫対策用アイテムを必要としない予防策の1つです。
基本的に、山林で人に危害を加える虫は、肌に対して攻撃します。
そのため、肌を衣服などで覆うことで、虫からの攻撃の大部分を防げます。
例えば、夏であればファンから送られる空気の力で膨らむ、「ファンジャケット」の着用も虫対策として有効です。
ジャケット自体が膨らむため、スズメバチなどによる攻撃から身体を守れるでしょう。
アイテムによって虫対策ができない場合は、衣服で身を守ることを意識しましょう。
リュックサックを背負うことで、背中を虫から守ることもできます。
風通しが悪くなり暑くはなってしまいますが、ハチ刺されには一定の予防効果が期待できますよ。
まとめ
林業は屋外で作業する仕事のため、虫への対策をする必要があります。
山林にはスズメバチやマダニなど、攻撃されると重症化する虫もいるため、虫対策は万全にしましょう。
もし、アイテムを準備できなかった場合でもできることはあります。
肌の露出を避け、強い匂いをまとわないことが、虫から自分を守ることにつながります。
参考資料
Amazon.com.「大容量 業務用ハチ駆除用殺虫剤 ハチノックV 1本(480ml)」.(2024年6月19日取得)
早瀬工業株式会社.「パワー森林香 虫よけ線香シリーズ」.https://www.e-hayase.co.jp/products/powerrepellent(2024年6月19日取得)
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